小説・創作

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サラリーマン、月1タイムリープ中|第11話「ヒーローの記憶」【終章】

年が明け、冬の空気はなおも冷たく、空には薄い雲がたなびいていた。家族旅行の予定だったはずのこの年末年始は、突然の悲劇によって全てが塗り替えられていた。田中進次郎――その名前は、事件後しばらくのあいだネット上を騒がせ続けた。「暴力をふるってで...
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サラリーマン、月1タイムリープ中|第11話「暴走と代償」【後編】

「……この男、危険ですよ。運転士に暴力を振るってます」「新幹線の運行を妨害したってことで、威力業務妨害、それに傷害もあるかもしれません」その場にいた誰もが、田中進次郎という男を“事件の当事者”として見ていた。取り押さえられた彼の姿は、まるで...
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サラリーマン、月1タイムリープ中|第11話「焦燥と疾走」【中編】

山下のバイクは、まさに風を切るように走った。「信号、無視すんなよ!」「してません! してないっすけど……ギリギリは攻めます!」風圧で目を開けるのも難しい中、私はヘルメットの中で必死に祈っていた。どうか間に合ってくれ、と。どうか、助けさせてく...
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サラリーマン、月1タイムリープ中|第11話「誘いとすれ違い」【前編】

「年末、東京に遊びに来ないか?」その誘いは、兄・慎吾からの一本の電話だった。「こっちで美味い店、もう予約してあるからさ。健太郎にも会いたいし。どうせお前、年末も家でゴロゴロしてるだけだろ?」相変わらず軽い口調の兄に、私は苦笑しながら返事をし...
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サラリーマン、月1タイムリープ中|第10話:伝える勇気と、月の代償

11月。 日を追うごとに風が冷たくなってきた。 季節が進むにつれ、私の身体も少しずつ限界を迎えている気がしていた。タイムリープ――月に一度だけ、時間を巻き戻す力。 誰かを助けるために。何かを変えるために。 私はその使い道をずっと探してきた。...
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サラリーマン、月1タイムリープ中|第9話:ヒーローと呼ばれなくても

10月の空はどこか澄んでいて、夏の名残を感じる日差しと、ほんの少しだけ肌寒い風が交差していた。最近、私はある思いを抱えていた。“この力、もっとちゃんと使うべきなんじゃないか?”月に一度だけ、過去をやり直せるという不思議な力。 これまで、駄洒...
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サラリーマン、月1タイムリープ中|第8話:父親参観とイメチェンと

9月に入っても、残暑は容赦なく続いていた。 それでも、7月や8月の頃に比べると、どこか空気が柔らかくなったように感じる。朝晩の風も、少しずつ秋の匂いが混じるようになってきた。私はというと、いつも通りの現場仕事をこなしていた。暑さでへばること...
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サラリーマン、月1タイムリープ中|第7話:ギャンブルと兄と、夏の約束

暑さにも、ようやく身体が慣れてきた。7月の猛暑を越え、8月に入ってからは少しだけ風が和らいだ気がする。気温は依然として高いが、身体の方が“夏モード”に順応してきたのかもしれない。現場仕事も、ようやくペースが掴めてきた。そんな中、私には特に予...
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サラリーマン、月1タイムリープ中|第6話:真夏の屋根と、禁断の一杯

「暑い」 とにかく暑い。何度目だろう、この言葉。 1日に何回同じフレーズを繰り返しているのか。言ったところで、何も変わらない。それでも言わずにいられない。それが、ここ数年の夏だ。テレビでは毎年、「猛暑」「酷暑」と騒ぎ立て、危険指数なるものも...
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サラリーマン、月1タイムリープ中|第5話:震えるコブシ

普段は温厚な田中進次郎。だが後輩への理不尽なパワハラを目の当たりにし、ついに怒りが爆発する。感情を抑えてきた男が、拳を震わせて下した決断とは?月1回だけのタイムリープ能力が、またも発動する!
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